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前回紹介した文春文庫ビジュアル版の映画関係本は1995年9月の「戦後生まれが選ぶ洋画ベスト100」で終わっているようだが、いずれのベスト本も多数の選者にアンケートを行っており、その労苦には頭が下がります。ラストの前述本も290人がアンケートに答えています。この戦後生まれが選んだベストワンは「2001年宇宙の旅」です。成程と思えますが、さらに1995年以降に生まれた人のベストワンは「ブレードランナー」でした。女性のみだと「ウエストサイド物語」だそうです。 一番最初の「大アンケートによる洋画ベスト150」では「2001年」が7位「ウエストサイド」が6位、「ブレドランナー」は60位以内にも入っていない。ちなみに1位は「天井桟敷の人々」でした。今だとどうなるのでしょうか興味深いところです。 ところで、この文庫シリーズで「B級グルメ」なるキーワードで何冊か出ていることがわかった。最初買った一冊が何なのか忘れたが、同じような内容の本が続々とあるようで、新古書店で見るたびに購入しました。一体何冊出たのか分からなかったが、1998年6月刊の「路上観察華の東海道五十三次」の巻末の広告によればB 級グルメと銘打ったシリーズは15冊あるらしい。他に食関係の本は「ベストオブラーメン」蕎麦、丼、すしなど10冊ある。ページ一杯のラーメンの俯瞰カラー写真などで読者の食欲を増進させた訳ですね。我が家には全部あるわけではないが、まとめてみると3分の2くらいはあるかもしれない。 「B級グルメ」とは何かということですが、1986年11月刊でシリーズの最初のものと思われる「スーパーガイド東京B級グルメ」によれば「A級の技術で東京流の味と伝統を守り、しかも値段はB級の心意気に燃える店のレポートを中心とする、これは一種の東京論である。」とありますから味はA級でも値段はB級のうまいものをB級グルメと定義してよさそうだ。そしてB級グルメの定番「五大丼三大ライス」を言及しております。 五大丼とは、天丼、うな丼、カツ丼、親子丼、牛丼であり三大ライスとはカレーライス、オムライス、ハヤシライスというわけで、各々の名店がカラー写真で紹介されている。ちなみに天丼は一昔前、万年金欠病の私でも食べにいけた神田神保町の「天丼いもや」が載っているのがうれしい。 15冊もあるけど、良く種が尽きないものだと思いますが、これは最初からの編集方針なのか、取り上げる記事が種々雑多で、食べ物の品目だったり、地域だったり一種の雑誌的な編集だったから、何冊も続いたんでしょうね。 最初の「スーパーガイド」では上記のほかに和菓子、焼鳥、菓子パン、谷中散歩、紙芝居、「黄金バット」の絵とせりふ、紙芝居の菓子類についての加太こうじさんの解説、蕎麦屋で酒を飲む、東京のバー等など雑誌風なんです。筆者もいろんなライターが一生懸命書いていてなかなか読ませます。 以下「世紀末大東京遊覧」「冒険」「セイシュン」「基礎知識」「これが美味しい」「東京一番しぼり」「おいしい銀座」「同2」「半日散歩」「大情報」「東京自由自在」「見た韓国」「見た台湾」「楽しい温泉」と連発。 面白いと思ったのは「世紀末」の坂東真澄さんの目的別2人のためのシティホテル案内。女性から見た視点がいいですね。愚かな男たちは良く勉強すべしです。町井大さんの「B級映画館の楽しみ方」もそれなりに面白い。場末をこよなく愛し、当時のしゃれたミニシアターをこき下ろしている点は共感できます。「一番しぼり」は焼き蕎麦十番勝負、とかロールキャベツの底力、四谷荒木町大探検、素晴らしいです。 これらの本は1995年頃で終わっているからもう古い資料に過ぎないですが、まあその当時はそれなりに良かったんだと言うことでしょう。現在はグルメ雑誌がその役目を継いでいるようですが、雑誌は取っておくことは少ないと思いますが、こういった文庫本なら残されていくこともでき、いい企画だったと言えるのではないでしょうか。 文春文庫ビジュアル版はほかにスポーツ列伝物「剛球列伝」「助っ人列伝」、有名人物「美空ひばり」「宮沢賢治」、歴史物「日本軍艦戦記」「オリエントの幻」、地理物「サンフランシスコ」「ニューヨーク」、漫画物「貸本マンガ大全集」「マンガ黄金時代」などがあり、それぞれ読み応えがあります。 もう在庫限りの消え行くシリーズでしょうが、私はいろんな文庫の中でもかなり優秀で貴重なシリーズだったと思います。古本屋で探してみて下さい。 ![]()
瞬く間に年が開け早11日。果たして今年はどんな年になるのでしょうか。 私にとっては年が開けあまりにもだらしない飲んだくれで終始してましたので、相方よりナイトキャップ禁止令が出まして、昨日より実行に移しているところです。所在無いのでブログでも更新いたします。 我が家の物置と言うか書庫はもう飽和状態なのです。一番いいのは本を買わないことなんですが、昔からの習性でおいそれと直るものではありません。そこで購入する本は体積の少ない文庫本、もしくは新書版に限るこにしました。そうは言っても文庫本化されない映画関係の本はやむを得ず買ってしまうのだけれど、とにかく文庫本に集中させようと努力しております。文庫本4冊分の体積で単行本1冊くらいだから、そうすることにより、書庫の限りある面積を有効活用できるというわけです。ですから古本で買う本はもっぱら文庫本で、かなり文庫に詳しくなってきました。 今では各出版社ごとに文庫が出てますが、昔は岩波、角川、新潮、教養、春陽くらいしかなかった。そこに待望の創元推理文庫が登場し、ミステリーフアンを喜ばしたわけです。そして文春、講談社、中公、ちくま、ハヤカワが出て、もう撤退した旺文社、サンリオも果敢に文庫に参入し、今では文庫出さない出版社を探すほうが難しい。各文庫についての感想等は又いずれ書くとして、今日は文春文庫ビジュアル版についてお話しましょう。 文春文庫ビジュアル版は背表紙の左肩に赤い斜線が入りVISUALと赤文字で記されていてこのマークがついてれば、このシリーズと分かるようになっている。私が始めてこのビジュアル版を買ったのは、映画ベストシリーズです。「大アンケートによる洋画ベスト150」という本です。1988・7月第1刷とあるから相当前ですね。 閑話休題。今これ書きながら有線テレビで「人のセックスを笑うな」をちらちら見ているが、この映画傑作ですね。自然体の台詞回しが素晴らしい。主演の3人がいい。松山ケンイチ、永作博美、蒼井優、適役です。監督の井口奈己さんは以前「テアトル新宿」でバイトでもぎりをしていたそうで、好きこそ物の上手なれですねと当時の支配人さんが話してました。引きの画の多いカット割りや役者の演技の引き出し方など新人離れした手腕を示しています。次回作に期待したいです。 さて、このベスト150シリーズは今までのところ6冊出ています。上記のほかに「日本映画」、「洋・邦名画」、「男優」、「女優」、「ミステリー・サスペンス洋画」とあり私は男優女優以外は持ってます。他に映画関係では「ラブシーン150」とか「ビデオ大好き365夜」、「戦後生まれが選ぶ洋画100」とか「異説・黒澤明」などがあります。ラストの「黒澤明」の凄いのは5作品を除いた全作品のカラーポスター(オリジナルか復刻版)が収録されてること。他の本は写真が多用されてるが全てモノクロだがこの「異説・黒澤明」はカラー写真が多いのが特徴。そうなんです、文春文庫ビジュアル版はカラー写真をふんだんに使った編集が一番の売りなのです。 勘定すると私はビジュアル版を43冊を大切にしています。もっと書棚の奥にあるかもしれないが、そんなとこでしょう。2008年3月の「文春文庫解説目録」によればビジュアル版は17冊しか載っていない。内10冊は漫画だから、昔ながらのビジュアル版は7冊しかカタログに残っていないことになる。寂しいことです。今持てはやされているB級グルメの発祥地はまさに文春文庫ビジュアル版なのに、どうなっているのかな。その辺については次回にお話しましょう。 ![]()
今年も残すところあと1日となりました。月刊「映画ランダムソート」にようこそ。 今日は今年1年を振り返ってみましょう。しかし、今年は例年のように、軽い気持ちで振り返るなんてわけには行かない事はお分かりだと思います。3.11の衝撃です。2万名もの死者、行方不明者を出した震災、そして未曾有な出来事、原発爆発事故です。前者は天災ですから備えを万全にし、如何に回避すればいいのか、工夫努力していけばどうにかなると思いますが、後者はまさに人災そのもの、原発などというものが無ければ何でもなかったわけだが、全ての電源が落ちることに対しどうなるかを想定しなかった甘さ、そして使用済み核燃料の処理について、単なる低温プールに沈めておくだけで、増えすぎて満杯になったらどうするか対策をあいまいのまま見切り発車してしまった甘さ。事故が起きた後の終結処理の認識に対する甘さ。全ていい加減だったことが明らかになりました。最初からメルトダウンしていることが分かっているのに隠していた東電と政府。メルトダウンといえば映画「チャイナシンドローム」です。題名の意味は原子炉からメルトダウンした核燃料が核分裂を続け、地中深く進行しやがては地球裏側(アメリカから見た)の中国まで達するということで、いかにメルトダウンは危険なことかフィクションドラマでしたが教えてくれた映画でした。スリーマイル島、チェリノブイリの事故の教訓を忘れたつけは大きい。福島第一原発近くの故郷を捨て、どれだけの人が避難しているか、その人々が元に帰れるようする為に東電・政府は全力で血を吐くような努力をしていなければならないのに、どうなんでしょうか。彼らは責任の重さをひしと受け止め対応していただきたい。こんな危険極まりないものを良しとした学者も学者だが、被爆国としての核に対する研究がなされてないのですね。学者が悪い。 今年最大の悪者原発のお話はこれくらいにして、他のことで私にとって最大の出来事は母の死です。 後、半月で92歳という歳ですから、女性の平均より上だからあきらめもできますが、しかし、寂しい。半年以上の入院でした。いやになるほど病院に通いました。変化をつける為、いろんな道を通ったりしてました。最期夜中の2時に連絡来たとき、たまたまその夜私は禁酒していた日で、自分で運転できて行けたので、バアサンちゃんと日を選んだなと思った次第です。そして家内の誕生日ときてるから、なかなか仕掛けるじゃないかと感心いたしております。まあ、我の強い人でしたから、多分自分が死ぬとは思っていなかったのじゃないかと思われ、冥途の道すがら、どうしてこうなっているのかと首をかしげながら歩いていることでしょう。待ってるジイサンも35年ぶりなので見間違えなきゃいいけれど。 というようなところで私の今年度の回顧といたします。そうそう今年見た映画のベスト・ワンは是枝裕和監督の「奇跡」にいたします。 ![]()
新古書店と言う言い方もありますが、ここで話題にするのは「ブックオフ」のことです。古本好きの私ですが、最近は広々とした「ブックオフ」を利用させていただいてます。ケイタイで「ブックオフ」の何とか会員になっていると、ある場所で今居るところから近い店舗は何処か教えてくれる。東京へ出かけたときなどケイタイで現在地から近いとこはどこか調べて地図を表示させ、その店まで行ったときなどうまく行き過ぎて、満足したりして喜んでいるのだから他愛無いもんです。 私の好きなのはどういう価格設定になっているのか知らないけれど、105円の棚が多いことです。他の定価の半額のものと105円の違いがわかりませんが、同じ本が両方にあったりしてるので、そういう場合は当然105円を買うのは当然です。それと懐の関係から余程のことが無い限り私は105円のものしか買いません。どうもその本がきれいかそうでないかが、価格設定の重要な要素みたいですね。本は外観ではなく内容だというのが持論ですので105円で十分です。 書籍とは別にCD、DVDなどの品揃えが充実しているのもいいです。ビデオテープなどはもう激安で、105円で売られております。なんかかわいそうです。昔の隆盛今何処といったところでしょうか。 ところで先日ある店で105円ビデオを2本買いました。1本は「チンドン屋大集合」という「全国ちんどん博覧会」の記録。これはまだ見てない。もう1本は「東海道スーパーライナー」でこれはJR貨物の運転室展望ビデオでした。早速帰って見てみた。これが面白いのですね。沼津から東京貨物ターミナルまで貨物線を通っていくのを運転室からの前方固定カメラで撮りっぱなし、丹那トンネルは7分間真っ暗のままだったり、複々線を並行して走る湘南電車と抜きつぬかれつだったりして、とにかく子供のころ電車の運転席の後ろにかじりついて見た記憶がよみがえり、全編2時間弱楽しませてくれました。 それでこのビデオのほかに同様のJR貨物運転室展望ビデオが後3本(山手線、武蔵野線、高速コンテナ)sその店にあったのを思い出し、2,3日後に又その「ブックオフ」に寄ってみた。早速ビデオのあった棚に行ってみた。3本とも残ってました。しめしめというわけで、ビデオ3本持ちまわすのも何なんで、他を見てからでもいいやと別の場所で物色しました。例により105円の雑誌類を5,6冊抱えて、ビデオの棚に来てみると、3本とも無い。エッ、しばし呆然自失。2,3日残っていたのに何でたかが15分の間で消えたのか。誰かが買ったのですね、無念。 前もこれをやったのです。ちょっと大き目の雑誌だったので後で取りにくればいいと思って他を見て、レジに行く途中に戻ったら誰かに持っていかれたことがある。承知していながら又やらかしたのです。教訓、欲しい本、ビデオはすぐ手に取り離さないこと。バーゲンセールでおばさんたちが欲しいものをとりあえず抱え込む、あの心意気ですね。 それとは別にうれしいこともあります。ディック・フランシスの競馬小説の3番目「重賞」という小説が抜けていて38巻まで手に入れたが3巻目はどういうわけかみつからない。4,5年いやもっとかもしれないがみつからなかったのです。新刊ならあるかもしれないが、ここは意地でも古本でみつけなければと探していたかいがありまして昨日入手することができました。こういうときこのうれしさを店員さんに言うべきか迷いましたが、無言で喜びをかみしめました。 新古書店めぐりはやめられないです。 ![]()
前回、光石研さんが来ますとお知らせしてから、早一ヶ月。早いもんですね、いろいろありすぎて思い出すのも大変です。上映会が6日あり、うち2日は複数回上映でした。又7日ほど親戚のりんご農家のお手伝いに行き汗を流しました。それから4泊5日の遠距離の旅行をこなし、高校の同級会に1泊で出かけたり、ある会の決算報告を作成発表したりともかく忙しい一ヶ月でした。 光石さんは予想通りの親しみやすい温かい人柄の人で、女性スタッフの面々は一層フアンになりましたと言っておりました。「あぜ道のダンディ」という映画は出来はいまいちですが、楽しいダンスなど出てきてほのぼのとさせられました。 りんご作業はサンフジの葉むしりです。葉摘みとも言いますがりんごの周りの葉っぱを取る作業です。葉がりんごに直接当たっているとその部分だけりんごが白く模様がついてしまいます。その葉っぱを取ればその白い模様も消えて全面が真っ赤になるわけです。脚立の乗り降りややや仰ぎ見る姿勢で少々腰が痛くなるのが難点ですが、青空の下気持ちのいい作業でした。 遠くへの旅行とは北海道の札幌でした。2年前からの懸案がやっとかないました。積丹半島の突先カムイ岬で積丹ブルーの海を見ました。その帰りに私が50年前に初めて海水浴に行った海岸、蘭島海岸で濃厚なラーメンを食べました。又、知人の山荘に招かれたのですが、庭先の下を奥入瀬渓谷まがいの清流が流れていて、そのスケールの大きさにびっくりしました。対岸は国有林だそうで鹿がよく出るそうで、もちろん熊も居るでしょう。瀟洒な建物の「六花亭」の二階のティールームで甘味を押さえたアイスクリームを頂きました。 同級会の翌日、卒業以来始めて母校を見学。昔の面影探したらせいぜい正門付近のヒマラヤ杉位か。女の子がうじゃうじゃ居て面食らう。皆さんまじめにハードなスケジュールで勉強しているようです。新しい体育館を見せていただいたですが、体育の時間は勉強の間の息抜きとして、有効なのだなと妙に納得いたしました。 来月の上映予定や映画のチラシを近所の図書館に持参し、ついでに家で取ってない新聞の古い記事を探して読んだりした。こういうとき図書館の便利さに感謝。新規入荷の書棚を見ていたら、岩波書店の「日本映画は生きている」シリーズが大挙飾ってあった。私はこのシリーズの中では「踏み越えるドキュメンタリー」というのを買ったけれど、他の本の内容を見ようにも地元の本屋にはまず無かったので都会の本屋で見ようかと思っていたところ、それが図書館で見られるのうれしいことです。そして貸してくれるのだからこたえられない。早速最終巻の「日本映画はどこまで行くか」を借りてきました。じっくり読まさせていただきます。 ![]()
来る9月30日(金)19:30まつもと市民芸術館にて松本CINEMAセレクトの上映会があります。作品は石井裕也監督の「あぜ道のダンディ」。何とその主役の光石研さんが来場してくれることになりました。セレクトでゲストを呼ぶ場合は監督などのスタッフ系が多く、キャストはあまり来ないのですが、今回は光石さんがいらっしゃいます。近来では柄本時雄さん以来で画期的な出来事と言ってもいいでしょう。 光石研さんといってもなまえと顔が一致しない方もいるかと思いますが、最近ではと言っても古いけどNHKの朝ドラ「ゲゲゲの女房」で松阪慶子さんの亭主役でちょっとひねた戦争帰りの人と言えば思い出していただけるでしょうか。3年前にデビュー30周年の彼個人だけの映画祭を渋谷で開催されましたから、芸暦はかなりのものがあり、渋い脇役として最近の映画界では引っ張りだこの人です。 今回は「川の底からこんにちは」の石井監督ですから、ちょっとずれた感じのユーモア溢れる作品になっているのではと期待が持てますし、主役に光石さんその親友役に田口トモロヲさんですからふたりの絡み合いが今から楽しみです。光石さんはデビュー作「博多っ子純情」で主役を演じてますから33年ぶりの主役です。もっともNHKのテレビドラマでは主役をしてますけど。 さて、私が光石さんに感じていることをあれこれ書かせてください。私が彼に注目したのは青山真治監督の「HELPLES]です。ムショ帰りの片腕のやくざ役でその狂気溢れるすごさに圧倒されました。主役の浅野忠信さんも彼にひきずられて狂っていく様は背筋が寒くなりました。その怖さは今でも語り草で、この映画が光石さんの転換期だったと言われております。次に凄いと思ったのは、李相日監督の長編デビュー作「BORDER LINE」です。 これもヤクザ役ですが、落ちこぼれヤクザで組の金を持ち逃げしてる役だ。その彼が父親殺しの少年と出会い、いろいろ諭すなど難しい役どころを演じてます。ですから一筋縄ではいかない複雑な性格の役どころが多く、それだけに観客は不思議な魅力を感じるのです。ある時はチョー怖い人だったり、ある時は心優しい小心者だったりその幅広い芸風は伊達に30年過ごしてきたわけではないのです。 又青山真治監督との相性がいいようで「ユリイカ」「サッド・バケーション」でも重要な役を演じている。相性のいい監督、俳優の関係はおのずと相乗効果でいい作品つくりになっていくようだ。変な意味じゃないご常連が出ることによりお客は安心して映画を楽しめることはいいことだと思います。 と書いてきながら、その当人が来ていただけるということは、これは凄いことなんだと、だんだんわくわくしてきました。皆様、是非とも30日はまつもと市民芸術館にご参集くださいますよう、切にお願い申し上げます。 お勧めついでに9月25日(日)10:00、13:00の2回Mウイングにてドキュメンタリー.ムービーと銘打った井手洋子監督の「ショージとタカオ」が松本に登場です。2010年キネマ旬報文化映画部門ベスト.テン第1位受賞作品ですので、昨年数多く作られたドキュメンタリーの頂点に君臨しているのがこの映画です。 158分という長尺ですが、納得堪能できる作品だと思います。こちらも見てください。待ってます。 ![]()
「太陽に灼かれて」1994 ニキータ・ミハルコフ 国連軍縮会議関連行事で行われた「非戦・共生映画祭」で上映された「戦火のナージャ」を見ていてなんか前にあるような気がしましたが、チラシによると前編がこれと言うわけです。まさか家にあると思ってませんでしたが棚の奥にありました。それで急遽鑑賞いたしました。ハイビジョン映画劇場とあるからそう旧くないのだがなんせ字幕が手書きで焼きこまれたプリントで、肝心のコトフ大佐の妻と諜報機関の男の関係が明かされる場面が明るく字幕が読み取れない。非常に腹ただしいのですがやむをえないので見ておりましたが、流石ミハリコフ、集団パーティー場面は見せてくれます。大勢の出演者がバランスよく話し、話の確信に迫っていくあたりやはり興奮させます。それと純粋無垢のナージャの使い方が大人のドラマに絡んできて、はらはらさせるなどうまいもんです。これを見て「戦火のナージャ」を見ればある程度理解できます。ただあれだけじゃ終わらないと思います。ナージャの成長とコトフ大佐の行く末、又続編が作られているようなので楽しみです。「戦火のナージャ」は話にバランスを欠いていますが、実の娘に上半身ヌードを要求するミハルコフ、どこに行くのか。
異例の速さで更新です。要は忘れちゃうから早く書かなくちゃ、です。 「ラスト・オブ・イングランド」1987 「ザ・ガーデン」1990 「ヴィトゲンシュタイン」1993 デレク・ジャーマン 今原発関連の映画が見直されてていろいろ取り上げられていますが、そういえば、デレク・ジャーマンが原発工場を背景に撮った映画があったなと思い出し、それがなんという映画だったか忘れたので確かめるつもりで、ジャーマン映画の撮りためテープを探して調べてみました。それが上記の作品です。 「ラスト・オブ・イングランド」は見てびっくりしましたが8ミリ映画のオンパレードで、めまぐるしい事おびただしい。ですからスートリーと言ったようなものは無く、イメージとイリュージョンのごっちゃまぜで見る人自分自身で感じてくれということですね。メカスやアンガーが活躍した初期のアメリカアンダーグランドシネマみたいなものです。誰の家族か分かりませんが、カメラ目線でカメラを見つめ笑っているファミリーのホームムービーが、効果的に挿入されてて、何を見せられてるのかアマチュアが撮っている様で錯覚しそうになります。テロリストが出てきて男を銃殺したり、ゲイの男性のからみがあったり、本当に支離滅裂で、見る人が感じればいいということなんでしょう。だから良く分からず。 「ザ・ガーデン」これが原発登場映画でした。ジャーマンの別荘の庭の向こうに原発工場があるのです。そこから出ている送電線をバックにキリストが出てきたりして意味深な感じです。こちらはどうにかストーリーらしきものがあるのですが、聖書を題材にした福音書の有名場面のオンパレードですが、そういう話はわたしは弱いところキリスト教的知識が無いので残念です。見せ方にしても、そこはジャーマン、手持ち8ミリ映画で画面を振り回しております。ちゃんと撮ってるところもありますけどね。それとスクリーンプロセスのあるセットでのいろんなエピソードが時々入ってきて、分かったような分からないような。本当に困るね。但し、原発に関してはかなりはっきりした反対口調のナレーションが入ってちょっとびっくりしました。 「ヴィトゲンシュタイン」はそれまでに比べかなりまとも。実在した貴族出身の哲学者の一生を、一口話風にあるときはセットでそれ以外は黒バックでエピソードを並べて描いております。彼の兄弟に戦争で右手を失った左手のピアニストがいて、そういえばラベルが彼に曲を献呈したらしいことは私も知っていて、あの人の弟かと思い出しました。ジャーマンが何故彼を描こうとしたか。ちょっと不思議でしたがそれは彼もゲイだったからとしか言いようがないです。その辺もさらりとしているのがいい。哲学者としての業績はわかりませんがかなり我の強い主人公の人となりを良く描いています。これは脚本に複数人が絡んで練った結果でしょう。 「記憶の彼方へ デレク・ジャーマンラストインタビュー」1993 ケン・マクマラン 30分の短編記録映画でタイトルとおりジャーマンのインタビューでやつれた彼しか出てこない。 画家志望の彼がケン・ラッセルの「肉体の悪魔」で美術をまかされ、それ以後映画界に入ったとのこと。それと個々の作品について語っている。このとき彼はエイズに罹っていてその前にゲイであることをカミングアウトしていたそうだ。ケン・ラッセルと接点があったことは、さもありなんと言えますが私としてはラッセルの作品の中ではこの「肉体の悪魔」が一番好きだ。中世の教会が舞台のこの映画魔女狩りで最後に自分を貫いた司祭が火あぶりにされる話で、宗教裁判での心理劇などからみ、かなり面白かった。岩波時代、羽田さんについていた時、編集疲れで近所の喫茶店で一息入れていて羽田さんと雑談中、最近のお勧め映画はと聞かれたのでこの作品を上げました。何故と聞かれ、そこから私はこの映画の良さについて微に入り細に入り語って休憩時間を大幅にオーバーしたのが思い出されます。「見てみたいわ」羽田さんの暖かいお言葉でした。脱線しましたがこの記録映画撮影時ジャーマンは50歳そこそこのはずだが、70歳を超えたような容貌で、lつらそうなしぐさが痛々しい。翌1994年に逝去、ご冥福お祈りします。 「セバスチャン」1976 デレク・ジャーマン ポール・ハンフレス ついでにもう一本あったジャーマン監督作品を見ることにした。前作のインタビューでも自ら言っていたが公開当初はスキャンダラスな評判が立って大変だったようだ。サン・セバスチャンの殉教を題材に別のセバスチャンを主人公に作られた作品だが、主題はゲイを認めさせようと言うことだから(多分)一筋縄ではいかないのは承知していたようだ。そちらのほうに興味の無い私ですが、波打ち際で戯れる全裸の二人の男のスローモションはある程度きれいだと思うくらいですから(あくまでも映像的にですよ)、ジャーマンの思惑大当たりではないでしょうか。何しろこの作品、男性のブツがやたらと出るので、その都度モザイク修正も大変だったのでは。最後にセバスチャンが全裸で杭に繋がれ矢で何回も撃たれるシーンはまさに宗教画ですな。それにしてもBSとはいえNHKがよくこれを放映したものです。このビデオを録画したときにちょうど地震があって関東から沖縄まで津波注意報が出て画面下半分は地図上で注意地方を点滅させるのが堂々と出ていて、解除された後も上三分の一に「午前4時何分に注意報は解除されました」とその旨のスーパーが10分以上出っ放しでこの映画の五分の四の時間、画面は常に邪魔されていて、やはり呪われた映画なのかなあと思った次第です。 「マーラー」1974 ケン・ラッセル ラッセルの話が出たところで棚を見てたらこれがあった。先月シネマセレクトで同じ題材の「マーラー君に捧げるアダージョ」パーシー・アドロン監督を上映したばかりなので比較の意味で見てみた。ほぼ同じなんだが両監督が取り上げた共通エピソードはマーラーが妻アルマに作曲を禁じたこと、(こちらでは自ら譜面を埋葬してますが)、とアルマの不倫が取り上げられている。ラッセルだからアドロンより過激で飛躍が多すぎる。不倫に対する夢想とか宮廷歌劇場指揮者になる為ワグナー夫人コジマとのやり取りを戯画したシーンなどちょっとやりすぎじゃないかしらと頭を傾げたくなります。確かこの映画も一人セレクトで上映され時見ていて、ちょっと辟易したのが思い出されます。しかし、そこがラッセルの良さ、モザイク見たいにちりばめられたマーラー曲の流し方など感心していいところも多々あります。4番なんかいいですね。 ![]()
最近ある事情で家に居なくてはならなくて、昼間から自宅にこもりぱなしです。いつもと同じじゃんと言われればそうなんですけど、この暑いさなか読書も少々つらいので録りためビデオを引っ張り出して鑑賞することにいたしました。あれこれ感想文みたいなものを綴ってみます。 「セカンド・サークル」1990「ストーン クリミアの亡霊」1992「静かなる一頁」1993 アレキサンエドル・ソクーロフ まず最初に取り出したのがこれ。食わず嫌いと言うわけではないですけど、なかなか見る気がしなかったのですがやっと見ました。ちゃんと見れたのは最初の「セカンド・サークル」だけで、これは別居していた父親が死亡して事後手続き等に翻弄される若者の話で身につまされるところもありますが、何か不条理感が漂っていてなかなかいい映画でした。次の「ストーン」は最初から何がなんだかさっぱり分からない。お化けみたいのが出てきているのだろうと思うのですが、要は私の理解不足なんでしょう。訳があって無い様な風景の長いショットがあったりして、その意味を見つけようと努力するが、何なんでしょうね思っていると次に移ってしまって訳分からんで、まったくのお手上げでした。「静かなる一頁」もわからん部類ですね。ドストエフスキーの「罪と罰」みたいでもあり、いやそうでもなかったり、ストーリーを追うようなつくりになってないので、これまた困るのです。そして訳の分からんまま終わりました。三倍速の画質の悪さで暗い部分が良く分からなかったからかもしれません。 「勇気ある追跡」1969 ヘンリー・ハサウェイ いま開催されている八ヶ岳山麓の原村の「星空の映画祭」で上映されてるうちの一本「トゥルー・グリット」の原作版です。女の子にキム・ダービー、彼女を助ける保安官がジョン・ウェンでなかなか良くできてます。ヘンリー・ハサウェイの演出はべたべたせず、さらっとしているところが真情なんですが、当時の西部劇にしては珍しく2時間を越える長尺で単純な話の割には丁寧にいきさつを描いています。彼には昔「向こう見ずの男」と言う青春西部劇の傑作があります。ドン・マレーとダイアン・バーシのコンビで、追われる男の悲哀と微かな恋情がマッチしたいい映画でしたが、世間では無視されてるようでトンと評判も聞かない。さてこの映画のジョン・ウェンはあまりアクが強くなくほどほどで、可愛い女の子を見守るいいおじさんになっている。黒い眼帯をしているのだが、ジョン・フォードへのオマージュか。そういえば悪漢団(こういう言い方も古いね)の一員にデニス・ホッパーが出ていた。気の弱そうな青年役で、「ジャイアンツ」からの独特のイメージですね、それをここでも演じています。その彼が「イージー・ライダー」でイメチェン。あの時はびっくりしたなあ。脱線しましたがこちらはとにかく見てほのぼのさせられました。 「教授と美女」1941 ハワード・ホークス 頭のタイトル見ててびっくりしました。脚本がチャールス・ブラケットとビリー・ワイルダーではありませんか。流石凝った話つくりで、あれよあれよと話が展開し見事大団円を迎えます。ありえないシュチエーションなのに堂々と話を進める強引さ、小道具の使い方のうまさはワイルダー一派の脚本、それをいとも簡単に料理するのがホークスですからこたえられない面白さ。ゲーリー・クーパーのすっとぼけ役もさることながら、ヒロインのバーバラ・スタンウィックの魅力満点。歌って踊って演技してですから。そういえばギャングの親分がダナ・アンドリュースで子分役で見た顔だと思ったらダン・デュリエでした。どうも考えると「お熱いのがお好き」の原型はこの辺にありそうですな。刑事と補聴器のギャグはここでも使われてます。主人公に返されたダイヤの指輪のエピソードは「アパートの鍵貸せます」の割れた鏡のコンパクトですね。今まで見てなかったのが悔やまれます。まあやっと見れたからいいですけどね。 「スペンサーの山」1963 デルマー・ディビス 雄大なワイオミングの山々に囲まれた谷で暮らす一家の物語。いい事尽くめで少々甘いけれどそれなりに見られるホームドラマです。ヘンリー・フォンダとモーリン・オハラの夫婦に8人だか9人の子が居て、主にここでは高校卒業する長男=ジェームス・マッカーサーの成長物語にしている。そしてラストは大学に入学する為バスに乗り込む長男を家族全員、先生・牧師が送ってくるのです。こういう別れのシーンはどの国の映画であれジーンときますね。母親役のモーリン・オハラが存在感を出していて素晴らしい。ディビス監督は製作脚本監督をこなしていて思う存分やりたいようにやっているけれど、「決断の3時10分」みたいなサスペンス物のほうが向いてるような気がする。彼の西部劇「折れた矢」は初めて先住民に勝ちを出した作品として知られている。 ![]()
今回は宣伝です。 今日から開催された「第23回国連軍縮会議in松本」開催を記念して、わがNPO法人コミュニティシネマ松本CINEMAセレクトでは、「心に灯る、かすかな光。ともに生きる平和の祈りを今、世界に。」と銘打ち「非戦共生ーともいきー映画祭」を7月30日、31日にまつもと市民芸術館小ホールにて行います。 上映作品は次の6本。 「ひろしま」1953 日本 監督・関川秀雄 英語字幕付 30日10時半 この映画祭のオープニング上映作品 セレクトでは今年3月にも上映したが英語字幕付で再度上映。 熊井啓さんが初めてついた助監督作品です。地獄絵図のような原爆投下直後の情況を丁寧に再現。モブシーンのスケールが大きく、この映画にスタッフ、エキストラがかけていた息込みに頭が下がります。 アフタートークにこの映画を全世界に紹介しようとしているプロデューサー小林一平さんが出演します。 「ミラル」2010 フランス=イスラエル=イタリア=インド 監督ジュリアン・シュナーベル 日本初公開プレミア上映 31日12時 少女の目に映るエルサレムを描いた映画、「パスキア」「潜水服は蝶の夢を見る」のジュリアン・シュナーベル監督が過酷な現状を強いられる地を平和と和解の願いを込めて描く。 アフタートークは松本市出身の戦場写真家村田信一さん。 「Peaceピース」2010 日本=アメリカ=韓国 監督想田和弘 30日13時 31日20時 観察映画「選挙」「精神」の監督想田和弘さんが見つめた観察映画番外編、岡山で暮らす人々や猫たちの何気ない日常。「平和と共存」がテーマ。 30日の上映はアフタートークに監督の想田和弘さんが登場します。 「戦火のナージャ」2010 ロシア 監督ニキータ・ミハルコフ 30日16時 31日17時 なんてたってニキータ・ミハルコフです。「機械じかけのピアノのための未完成の戯曲」見ました。あのときの鋭さはもう無いと思うが、出たがりミハルコフ、今度は娘さんも共演。 「バビロンの陽光」2010 イラク=イギリス=フランス=オランダ=パレスチナ=UAE=エジプト 監督モハメッド・アルダラジー 30日19時 31日10時 ベルリン映画祭でアムネスティ賞 平和賞同時受賞のこの作品は 欧州各国が製作支援しました。 子供の目を通して真実のイラクの姿が現れる。 「ピンク・スバル」 2010 日本=イタリア 監督小川和也 31日15時 ニュースでは知ることができない、紛争地の瑞々しい日常を日本人監督が描いた多国籍ヒューマン・ドラマ。 以上6本ごゆっくりお楽しみください。 本物の軍縮会議が実のある有意義なものになることは言うまでもありませんが、こちらの共生(ともいき)映画祭に皆様是非来てください。前売りもありますが、2作品の回数券2200円がお得です。これは当日のみ発売との事です。 お待ちしてます。
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